事故(外傷)で脱臼や打撲をした歯の運命


自転車で転んだり、人にぶつかったりの事故で
前歯を強く打つ事があります。

ひどい時は歯が脱臼したり、
もっとひどかったら抜けてきます。

そういう歯はできるだけ速やかに元の位置に
もどしてあげて固定します。

よほどの事がない限り
まずはくっつくのですが、
その後 半年から3年、
まれには7年以上たって、
異常が出てくる事が多いのです。

写真は上の前歯です。

事故で打撲して、上の方は割れてなくなり、
根もぐらぐらになって来院された歯を、
ワイヤーで一定期間固定して、
根の治療も施し、さし歯にしていました。

その後はなんともなく快適に使えていたのですが、3年後に違和感を感じられて来院したのが
上の写真の時です。

根の真ん中あたりがなんとなくモヤモヤしてきています。

もうこの時点で「ああ…吸収が始まりましたね」ということで覚悟してもらいましたが、
生活に支障がないので抜歯したくないとのことで、もう一年そのままにしていた後が下の写真です。

もうはっきりと分断されています。
吸収が起こったのです。

こうなるとできるだけ早く抜歯をしないと、周りの歯の骨まで溶かしてしまします。

この時点でもまだ生活上問題がないので、
患者さんは抜歯になかなか踏み切れないのが普通ですが、
もう諦めていただくしかありません。

事故(外傷)では、その一瞬、骨と歯に想像以上の力がかかっています。

事故後にどんなに適切に治療をしても、
一定の割合で、写真のような吸収が起こる事を覚悟しないといけません。

また、逆に、溶けるのではなく「癒着」してしまうこともあります。

癒着しても矯正治療をする時以外は大きな問題がでませんので、
患者さんにとってはどちらかというと癒着の方が望ましいかもしれません。

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中村歯科ブログ(広島市南区皆実町)