最新・アメリカの口腔ケア

先日、歯科医師会主催の「最新・アメリカの口腔ケア」なる研修に行ってきた。

アメリカで、老人施設や脳神経医療施設で口腔ケアを担当している、その道では有名な衛生士さんを招いて、
その具体的な方法、使用している道具、薬品などまでを紹介してもらう、という内容。

重症患者さんの死因の一つである肺炎は、
口腔ケアを徹底すると、その発症率がかなり下がることは
日本でも知られている。

それを、いかに効率よく、行うか。
何を使うとうまくできるか。
その頻度は。。。。を理論と経験にもとづきレクチャーされた。

具体的には毎食後の衛生士によるブラッシングを毎回2分間。
舌も磨く。
1時間おきに、口腔乾燥を防ぐ薬剤も使用する。
その道具もいろいろ紹介された。

しかーし。
これは、聞くは易し、実行するは難し。

私はちょうど1年前、子供のいない叔父が日赤病院に緊急入院し、
一ヶ月半、週に3回、面倒を見に通ったことがある。
食事の時間にあわせ、自転車をとばして行き、
少し認知症がでてきた叔父のゆっくりしたペースに合わせてご飯を食べさせる。
食べ終わったら顔をふき、パジャマを着替えさせる。
場合によっては時間をかけてトイレにも連れていく。
そして最後に歯磨きをして、うがいをさせ、寝かせる。

書いてしまえばこれだけのことだが、
実際にこれをやると、なんだかどーっと疲れが出る。

老人で、ましてや具合の悪い人間の歯を、ベッドの上で歯磨きをする
・・・その大変さを 身をもって学んだ。
口だって、そんなにうまく開けていてはくれないのだ。
うがいだって、うまくできないときもある。

たった週に3回、たった一か月半で、
私はもうクタクタだった。

老人介護は先が長い。
歯科衛生のプロでさえ、老人の、病人の歯磨きは負担だったのだ。
ましてや素人の方には・・・。

研修を受けながら、「言うは易い、だが実行は・・・」
と何回も考えてしまった。
アメリカはそれをプロの手にすべて任せられる。
なぜならそれだけのケアを受ける人は それだけの費用を出しているから。
しかし、日本の今の医療制度の中で、
アメリカと同じだけのケアを提供するのはなかなかに難しいのではないか?

次回につづく・・・

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中村歯科ブログ(広島市南区皆実町)