歯の再生医療のニュースに思うこと

患者さんとの会話の中で、時々「再生医療」の話が出ます。

特にTVでそういうニュースや特集などがあった後は、
患者さんの興味がその方向に行くようです。

この夏も、マウスの歯の組織を体外で培養した後にあごの骨に移植、歯を再生する実験に成功したというニュースがありました。
http://mainichi.jp/select/science/news/20110713ddm012040173000c.html

今はまだ現実にどうこう という時期ではありませんが、
いつの日かはこういう話が現実の診療に登場する日が来るのかもしれません。

再生医療が実用化されるその日まで、
いかにして自分の歯を守っていくか、
これが大切です。

また、こうした再生療法を行う際に大事な事は、
「その人が なぜその歯を失うことになったのか?」 をきちんと把握し、
いざ再生療法を受けられるようになったときには、同じ過ちをおかさないことです。

抜歯しなければいけなかったのは、虫歯によるものなのか?
歯槽膿漏が原因だったのか?
あるいは噛み合わせの悪さによるものなのか?
食いしばりや歯ぎしりなどの力のストレスによるものなのか?

例えば 歯周病によって骨が失われて抜歯になったのであれば、
そのときと同じプラークコントロールをしていたのでは、
再生医療で作った骨も また徐々に失われていくでしょう。

歯ぎしりなどの力のストレスによるものであれば、
再生医療を受けた後も、夜間に歯ぎしりによる力を緩和するためのマウスピースが必要になるかもしれません。

再生医療の場合だけでなく どの治療の時も、
「どうしてこの歯はダメになったのか?」
「どうしてたくさんある歯のうちこの歯がダメになったのか?」
という考察はとても大切です。

そして、そこをきちんと改善してあげないと、本当の治療にはならないのではないかと思っています。

再生医療は、通常の治療よりもさらに、患者さんの免疫力、回復力にゆだねる部分の多い治療法です。

再生医療で治療をする際には、
患者さんにも 「組織が再生するメカニズム」 や、
「治療を成功させるために 何を 何故 しなければいけないのか」 について
理解し、努力して頂くことが成功の大きなポイントになるでしょう。

その上で、歯科医師との二人三脚で治療・その後のメンテナンスにあたっていくことが、
成功率を高める事につながると思います。

どんな治療でも、やはりお互いの信頼関係と お互いの努力が とても大切だと思います。

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中村歯科ブログ(広島市南区皆実町)