認知症の患者さんのこと
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ブログ中村歯科の患者さんで、60歳くらいで軽い認知症の奥様がいらっしゃっています。
いつもご主人が付き添われて来院され、
奥様の治療が終わるまで待合室で待たれています。
奥様は治療の途中で不安になると
「おとうさーん、おとうさーん」
とおっしゃいます。
トイレに行きたくなったら
「おとうさーん、トイレに行きたいー」
と呼ばれます。
治療が長くなると
「おとうさんが帰っちゃったらどうしよう。」
とオロオロされます。
奥様はいつもきちんとした清潔な服、清潔な髪です。
ご主人の努力がしのばれます。
予約時間に遅れたり、キャンセルされたりすることは絶対にありません。
はたから見て、すべてゆっくりになっておられる奥様を時間通りに連れてこられるのは、
たやすいことではないと容易に察しがつきます。
そして今日気がついたこと。
その奥様、うがいをされた後、必ずハンカチで口をトントンとおさえられるのですが、
そのしぐさがとても上品なのです。
この手のことは一朝一夕で身につくことではないでしょう。
私がお目にかかったのは「今の奥様」ですが、
お元気だったころはきっと品の良い素敵な奥様だったに違いないのです。
ご主人のお気持ちに想いを巡らせたりして、
心が少し痛みました。