8020の達成率は40%だけど・・・

8020・・・80歳で20本の歯を残そう!

ずいぶん前から日本歯科医師会が提唱しているスローガンである。。
毎年 これに該当する方を歯科医院が推薦して、表彰も行われている。

現在の達成率は38.3%。

これって結構すごいと思う。

ただ、健康で、自分でケアできる状態の8020であれば・・・の話。

20本の歯が残っていればほとんど不自由なく何でも食べられる。
ただし、高齢になって、いろいろな事情からセルフケアができなくなると問題である。

だいたい年を重ねると歯ぐきが減るので、どの歯も根っこが露出する。
根っこのところはエナメル質ではないのでムシ歯になりやすいし、
知覚過敏もおきやすい。

それでも心身ともにそこそこ健康であればなんとかできるのだが、
認知症だったり、基礎疾患をかかえておられると、
治療はもちろんのこと、予防、管理も難しい。

身うちで体験されたことのある方は実感されるだろうけれど、
認知症になられると、時として介護側が歯ブラシをしようとしたり、
治療をしたりしようとすると、
「噛む」方がでてくる。

そのときに「手加減」はない。
本気で、噛む。
指がちぎれる恐れ、充分あり。

そこまででなくても、人には「プライド」というものもあり、
介護の人に素直に歯磨きをさせて下さる方ばかりではない。

老人になると、口を長時間あいているのだってつらいし。

ましてや、基礎疾患があると、抜歯したくても外科処置ができない・・・ということもよくある。

で、どうなるか・・・・
歯が痛い。しみる。歯があっても噛めない。
口臭もひどくなる。

これは超後ろ向きの考えではあるが、
ある観点からすると、いっそ総入れ歯のほうが、介護がしやすかったりする例もある。
(これは体験した人でないと判らないと思うけれど)

それでも残っているのが自分の歯ならまだ良い。
なんとか工夫を試みて どうしてもだめな歯は抜歯できることもあるから。

でもその歯がインプラントだったら・・・。

インプラントというのは、骨に癒着しているのである。
だから健康で、メンテナンスをきちんとされている時は、良く噛めて快適なのだ。

しかし、メンテナンスができなくなり、炎症が進み過ぎてしまうと、
インプラントは骨に癒着していながらもグラグラになり、膿もでて、痛くなる。
そのうえ基礎疾患を抱えた高齢者となると、それはそれは困ったことになる。

誰も自分がどのような形で年をとるか判らない。
インプラントがものすごい勢いで普及してきた今、
こういう事実があることも、知っておくことは大事だ
と、私は思っている。

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中村歯科ブログ(広島市南区皆実町)