NHKで放送された、歯槽膿漏と心筋梗塞、肺炎、糖尿病との関連について
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読んで得する歯のはなし10月31日の朝のNHKテレビで、
歯槽膿漏の菌が原因で、心筋梗塞になったり、肺炎になったり、早産、流産になる。
歯槽膿漏の治療をすると糖尿病が治る・・・というような内容が流れました。
歯槽膿漏菌であるAa菌とPg菌がどのように心筋梗塞に関連してくるか、など
判り易く説明していました。
ある意味 歯槽膿漏でそれらの疾患を誘発するというのは本当なのですが、
番組では まるで「歯槽膿漏を治せば、それらの病気も治る」
「とりわけ糖尿病が、歯槽膿漏をなおすことで治る」・・・というようなニュアンスの取材の仕方でした。
これはちょっと誤解を招きやすいな・・・と思いました。
歯槽膿漏をそのままにしておいていいわけがないし、
口腔の最近の数を減らすことが全身の健康に役立つのは言うまでもありません。
しかし、番組で流れたように
「歯槽膿漏の人が一カ月間 抗生物質を飲んで、薬をつけただけで、糖尿病まで良くなった」
というのは、ちょっとはしょりすぎ。
歯槽膿漏の急性期 (歯肉がひどく腫れて、膿がばんばん出ていたり、出血がひどかったり、痛みがひどかったり)
は、ある抗生物質を飲むことでそれらの症状を劇的に改善出来ます。
しかしそれはあくまで一時的なことです。
根本的な治療をしないと、歯槽膿漏はまたすぐに元に戻ります。
ましてや、薬で歯槽膿漏の急性症状を一時的に抑え込んだだけで、
長年の糖尿病が治る・・・ということはありません。
糖尿病ってそんなに甘い病気ではないでしょう。
逆に、糖尿病を治すと、全身の免疫力、歯周組織の回復力が上がって、
歯槽膿漏も良くなってくる・・・という図式は成り立ちますが。
時間の関係で、ああいう番組構成になったのでしょうが、
誤解をまねくニュアンスでした。
歯槽膿漏は長い年月をかけて、じわじわと進む慢性病です。
治療は、急性期は薬の力を借りて。
そのあとは しっかり、じっくり、地道にプラークコントロールに取り組むことがどうしても必要であるということを
番組ではもっと強調してほしかったです。