口内炎と天疱瘡
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読んで得する歯のはなし今日放送された 「みんなの家庭の医学」で、口内炎を特集していたので主人と見てみました。
(この番組って、以前は「本当は怖いたけしの・・・」とかいう名前じゃなかったっけ?)
最初の症例は、なかなか治らない口内炎が、実は「天疱瘡」の初期症状だった・・・という内容でした。
頬の内側にできた口内炎・・という触れ込みの映像を見ただけで、
「これ、口内炎じゃないよねー」と主人とうなずきあう。
「なかなか治らなくて、拡がってきた映像」を見て、「絶対口内炎じゃない」 とわかる。
(悪性のものか、普通の口内炎かは、判るんです、見れば・・・。)
「その後、靴ずれができた」・・というところで「これって天疱瘡じゃないの?」と二人で見ていたら、
案の定 その後も散々ショッキングな映像を出して、「天疱瘡」 と種明かし?がされたうえ、
ゲストの血液検査までして、
ゲスト全員、天疱瘡ではありませんでしたー、ああ、安心~~
と続くのですが、う~~ん、ちょっとねぇ・・・。
だって、天疱瘡って、ものすごく珍しい病気なのです。
でもこの番組構成だと、あなたも、あなたも、ほら!あなたも もしかしたら天疱瘡???って感じを視聴者に与えてしまうのでは?
私は27年この仕事をしていて、たったお一人だけ天疱瘡の方に出会ったことがありますが、
主人は一度もない。
50年以上歯科医師をやっている父も一度もないそうです。
天疱瘡のあとも、ベーチェット病とか、血液の癌とかが口内炎の初期症状としてでてきました。
たしかに、天疱瘡のもベーチェット病も、口腔外科の試験の「ヤマ」で、
症例写真集には必ず出ているのですが、
とにかく そんなにちょくちょくある病気ではないのです。
この番組って、前からそうだけど、あまりにも大げさな映像と、
「ほらっ!そこのあなたも●●かもしれませんよ!」・・・という言い方で、
珍しい病気を さもソコにもココにもあるような表現をして、
視聴者の不安をあおり過ぎていると思います。
こういうTV番組が放映された後は、
「この間TVでやっていたのですが・・・」
と不安になった方が診察を受けにいらっしゃるのが常です。
心配な場合は診察を受けられるのも良いとは思いますが、
口内炎ができていても、
舌が白くなっていたり、少々溝がついていても、
まず普通は大丈夫ですから、必要以上に不安になられなくてよいかと思います。